木の葉の隙間から朝日が差し込み、鳥の鳴き声が聞こえるこの清々しい朝に目覚めた。畳の部屋で白いシーツに包まり、そばには色鮮やかな襖が見え、さらにまわりを見回すと押し入れ、机などがあった。しかし、何か違和感を覚え、むくりと起き上がり側にある小さな鏡を手に自分の顔を覗き見た。
するとどうだろう。自分の姿が前とは全く違って髪が腰あたりまで長く、ますます赤みを帯びていた。
「起きたか」
由宇の視線の先にはエプロン…否、割烹着の男性という何やら不思議で怪しい感じの顔の綺麗な男性がお玉を持って立っていた。
「飯だ。また迎えに来るから、着付してもらえ。」
そう言って男の人が退室すると30後半くらいの優しそうな女の人が入ってきた。
「世話係の梢と申します」
由宇は梢に着付してもらっているとふと全身鏡に自分の姿がうつる。整った顔立ち、白い肌、長いまつげ、ピンクの唇。自分をみているはずなのに、誰だと自分で思ってしまった。
「できましたよ。」
自分の姿を見ると、水色の着物で桔梗の花がある。清潔感を醸し出し、しかし、桔梗ということで落ちていている。まさに自己紹介にもってこいの着物だ。髪もアップにされており、大人っぽい魅力がでる。
あれこれ考えているうちに男の人が襖を開けて、入ってきた。