君に送る言葉?

深山暁  2007-03-15投稿
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「私も…ずっと…好きでした。」
そう言った浅岡は、泣いていた。



…同じだった?

苦しい思いを抱えていたのも。

どうしようもない思いを持て余していたのも。

浅岡も僕と同じだった?

もう一度、浅岡にゆっくりと手を伸ばす。
白い頬を伝う涙を拭う指が震える。
伝わってしまっているだろうか…。
今までに無いくらい緊張している事が。


浅岡が顔を上げた。
目が合う。

…そんな目をするなよ。

我慢が出来なくなりそうだから。

「…先生。」

そんな声で呼ぶな。
引き返せなくなる。


…もう、引き返せない所まで来ているのかもしれないけど…。



「…何か言ってください…先生。」


ああ。
もう駄目だ。


何かが、切れる音を…聞いた気がした。


「浅岡。」

声をかけて、浅岡の頬に添えていた手で彼女の後頭部を掴む。
「…せっ」
何かを言いかけた唇を塞ぐ。
さっきのように触れるだけのキスではなく、抑えられない衝動を、唇で、舌で、押しつけるような深いキス。

止められない。

息をするのももどかしく、唇を重ね合わせる。

何度も何度も。
舌を絡めて。
口角を変えて。

「ふっ。」

息継ぎの時に漏れる声さえ、もったいなくて。
またすぐに唇を塞ぐ。


ようやく身体の奥から沸き上がる熱が落ち着いて、
ゆっくり唇を放した。
長いキスで不足した酸素を取り込もうと深呼吸をする。
ふと目線を下に落とすと、同じように荒い息をしている浅岡がいた。



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