ナイト・オン・ドラグーン【84】話『褶曲』

milk  2007-03-15投稿
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大地の搭から出たときには、すでに闇は消えていた。
青い空が頭上に広がり、明るい陽射しが降り注ぐ。
人々が歓声を上げていた。
誰もが空を見上げ、少しでも光を感じようと両腕をいっぱいに広げている。
『ん…あれは…』
その人々の中に、アインは求め続けていた人の姿を見た。
全力で駆けた。

『マナ…!』

やはりマナはここへ来ていたのだ。
捕われたのだとばかり思っていたが…

大地の鍵を壊すために。

人々に自由と笑顔が戻ればという言葉に嘘はなかった。
その事実さえあればいい。
『アイン、私…』

『いいんだ。もう何も言わなくていい…』

苦しみ続けていた人々にとって、マナは確かに希望だった。
それで十分だ。

『なーに二人してイイカンジになってんの〜?』

不意に背後からリオの声が聞こえた。

遅れてリリーナとゴンザレス。

『あなたリオ?生きてたのね…』

『ぇえ!そりゃあもうっ』

『あ、あと後ろの二人がリリーナとゴンザレス、二人のおかげで大地の守護者を伐てた。』

『マナです、よろしく』

『ふん、気にするな。たまたま目的が一緒だっただけだ』
リリーナが皮肉気味に言う。

『オ、オレゴンザレス』

なぜかゴンザレスは照れながらマナと握手を交わした。

そしてアインはこれまでのことをマナにその場で話した。



『ふぅ…さてと行くか』

リリーナが杖をしまい込みながら立ち上がった。

それと同時にリオとゴンザレスも立ち上がる。

『どうしたんだ?三人とも』

『僕たちは自分の道を行く。』
背を向けたままリリーナが淡々と言う。

『あたしもねっよーく考えたんだけど…リリーナちゃん達に着いていくことにしたの』

『ココデ、オワカレダ…アイン』

ほうけたようにアインは三人を見上げたが、やがて悟った。

『わかったよ、ここで別れよう。ありがとうリリーナ、リオ、ゴンザレス』

立ち、マナの手を取る。

『アイン?』

大地の守護者は消える間際に言っていた、次の守護者の名を。

おそらく次の戦いこそ悲惨かもしれない。

あの三人は自分に気を使ってくれたのだ。

アインは強く頷いてレグナを呼んだ



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