大地の搭から出たときには、すでに闇は消えていた。
青い空が頭上に広がり、明るい陽射しが降り注ぐ。
人々が歓声を上げていた。
誰もが空を見上げ、少しでも光を感じようと両腕をいっぱいに広げている。
『ん…あれは…』
その人々の中に、アインは求め続けていた人の姿を見た。
全力で駆けた。
『マナ…!』
やはりマナはここへ来ていたのだ。
捕われたのだとばかり思っていたが…
大地の鍵を壊すために。
人々に自由と笑顔が戻ればという言葉に嘘はなかった。
その事実さえあればいい。
『アイン、私…』
『いいんだ。もう何も言わなくていい…』
苦しみ続けていた人々にとって、マナは確かに希望だった。
それで十分だ。
『なーに二人してイイカンジになってんの〜?』
不意に背後からリオの声が聞こえた。
遅れてリリーナとゴンザレス。
『あなたリオ?生きてたのね…』
『ぇえ!そりゃあもうっ』
『あ、あと後ろの二人がリリーナとゴンザレス、二人のおかげで大地の守護者を伐てた。』
『マナです、よろしく』
『ふん、気にするな。たまたま目的が一緒だっただけだ』
リリーナが皮肉気味に言う。
『オ、オレゴンザレス』
なぜかゴンザレスは照れながらマナと握手を交わした。
そしてアインはこれまでのことをマナにその場で話した。
『ふぅ…さてと行くか』
リリーナが杖をしまい込みながら立ち上がった。
それと同時にリオとゴンザレスも立ち上がる。
『どうしたんだ?三人とも』
『僕たちは自分の道を行く。』
背を向けたままリリーナが淡々と言う。
『あたしもねっよーく考えたんだけど…リリーナちゃん達に着いていくことにしたの』
『ココデ、オワカレダ…アイン』
ほうけたようにアインは三人を見上げたが、やがて悟った。
『わかったよ、ここで別れよう。ありがとうリリーナ、リオ、ゴンザレス』
立ち、マナの手を取る。
『アイン?』
大地の守護者は消える間際に言っていた、次の守護者の名を。
おそらく次の戦いこそ悲惨かもしれない。
あの三人は自分に気を使ってくれたのだ。
アインは強く頷いてレグナを呼んだ