あぁ、、、9時5分前。
雪は止むどころか降り積もる一方。
どうしよう。
歩道に積もった雪を見る。
どうしよう。。
今日履いてきたローファーを見る。
どうしよう。。。
あたしの答えを待つ、博明の顔を見た。
送ってもらうだけじゃん?
そう。送ってもらうだけ。なのに、なんだろ、、、この胸の騒めき。
いやな予感?本能?
ため息が出る。
9時です。ポーン
ラジオが告げた。
とりあえずタイムカードをついてみる。
何気なくみたケータイの天気予報が、明日も降ると伝えた。
着替えて外に出ると博明の車が。
「乗りなよ。」
言われるがままにしてみることにした。
慣れた手つきでハンドルを操る。ふと窓の外を見ると寒そうに駅に向かう女子高生がいた。
あれこれ指示しながら、うちに着いたのは、それから10分後のことだった。
「ありがとーございます。助かりましたぁ。」
ありきたりなお礼と共に外に出る。
なにもなかった。あの騒めきは、ただの思い過しかぁ。。。
ほっとしつつも少し切ない思いで、ドアを閉めようとした瞬間、
「あっこれ、食べなよ。好きっしょ?」
コンビニの袋を差し出す。外から見てもわかる。
あたしの好きなアーモンドチョコレートだった。
そこは素直にいただき、きた道を帰る博明の車に手をふった。
部屋に入り、一息つく。
部屋の暖かさにうとうとしていたら、メールが来た。
〈手紙、みてくれた?〉
博明からだ。
手紙?なんのこと?わからず返事をうちながら、さっきもらったチョコレートに手が伸びる。
袋の中には、アーモンドチョコレートと、四つ折りにされた紙がはいっていた。