…………
んぁ…
…………
!!!!
ここはどこだろう?
薄暗い部屋。
ガチャ。
「あーよかったぁ!!!目、覚めたんだね!
このまま起きなかったらどうしようかと思ったよ。体大丈夫?」
見ず知らずの男。
彩が返事に困っていると…
「そうかぁ。
目が覚めたら知らないとこに居たからビックリしたよね。
とりあえず、僕の名前は和弥。
………
信号ばっかりに気を取られてて、君の姿に気付かなくてね。
慌てて急ブレーキを踏んだ時にはもう君の姿は見えなくて…
すまない。
でも、車と接触していないから安心して。
僕、医者なんだよ。」
次から次へと話す和弥。
確かにどこも痛くない。だけど…
急ブレーキ?
えっ?
思い出せない…。
「君、名前は?」
『…………
……わかんない…。』
「えっ?まさか…
これ君のだけど?」
白いかばんを差し出された。
ピンクの携帯、ピンクのポーチ、ピンクの財布…
どれもこれも初めて見る物だった。
財布の中の免許証を手に取り、わかった。
『あたしの名前は彩…彩みたい…』
「君…まさか…」
彩は訳が分からなく、途端に涙があふれてきた。
慌ててどこかへ電話する和弥。
「さっきの子なんだけど、どうも様子がおかしぃんだ…。
あぁ。そうなんだ。
うん。
…検査結果はホントに異常なかったんだよな?
あぁ。わかった。」
電話を切る和弥。
そして和弥の案内で診察室へと通された。
そして幾つかの検査が終わり…
「……君、いや、彩ちゃん。
どうも頭を打ち付けたショックで…………記憶喪失を起こしているらしい…」