｢うわっ。急にびっくりするじゃないですか！｣
いきなりゆかりさんが目の前に現れた。
｢先生に
『私がアメリカにいた体験を元に
日本とアメリカの文化の違いについての
同好会を作りたいんですけど』
って言ったら
快くハンコを押してくれたわ。｣
同好会規定の紙を机の上にバザバサと置く。
｢え、そんなんで大丈夫なんですか…。｣
｢大丈夫、大丈夫。
名前も
『アメリカ文化同好会』
にしておいたから。｣
それは大丈夫じゃない気がするのですが…。
｢別に名称詐称は問題じゃないわよ、
ねぇ中野くん？｣
｢ですよね〜。｣
この場でさらに
同好会長は自分に決定したような気がした。
(…こいつらに任せておけない！)
こうして平穏な高校生活は
この２人によって破壊されゆくのだった。
(はい、笑って笑って！)
そのあとの朝礼中、気になったことがあったので
こっそり中野に聞いてみた。
｢とりあえずイカロス同盟、
って結局なんなの？｣
｢一応さ、人の生き方について
考える同好会にしようかと。｣
｢…そんな大それた研究、
お前できるのか？｣
｢中野に不可能の文字はない！｣
…なんて適当な同好会だ…。
そしてもう一つ気になったこと。
｢お前、何であんな同好会作ったの？｣
｢だってさ、ゆかりさん
好きそうじゃないか、そういうの。｣
慣れないウィンクをしようとして
両目をつぶる中野。
｢お前…。動機が不純すぎるぞ…。｣
そしてこいつがライバルなんだ、と思うと
少し焦りも感じた。
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