relations 23

るぅ  2007-03-16投稿
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10分前になっても席はガラガラ。

どんだけ人気なぃんだよ…この映画。

「なぁ……。」

「ん?」

「なんでこんな後ろなの?」


ユカリがとった席は最後列のど真ん中。

狭い劇場だから見えにくいってわけじゃないけど……

「どうせこんな空いてんだし、前行かね?」

「ここで良いの。」

ユカリはスクリーンを見つめて言った。

なんかユカリってこんな……自己主張強かったっけ?

その横顔は頑なで……

「なんで?」

「なんでも。」

即答するユカリ。

俺はふと思いついた。

「当ててみせようか。」

眉を上げて俺を見るユカリに顔を寄せ、耳元で囁く。

「ここで、抱いてほしいんだ。」

「あんたはほんとにっ……!!」


ユカリが真っ赤な顔で俺を叩こうとした時、映画が始まった。

眉間にシワを寄せたままスクリーンに顔を向けるユカリ。


すげぇわかりやすいリアクションだな。
いつももっと恥ずかしいことしてんのに。

多分俺達って雰囲気に流されやすいんだ。

あと、デート自体に慣れてないせい―――\r


って、慣れてないのは俺だけか。


一瞬、あの夜のユカリが頭をよぎった。

俺の見たことない笑顔で、俺の知らない男と寄り添うユカリ―――\r


キュッと胸の奥が痛んだ気がして、俺は慌てて映画に集中した。

なんでかわかんないけど、もう―――思い出したくも、ないんだ…………。

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