無事宿屋に着いた僕達は少し休むことにした
「君、名前は?」
「…要。鈴宮要です。」「変わった名前だね。僕はアイリン・オロンだ。」
「…くノ一なんです。」「なるほど。だからその格好なんだ」
「はい」
(随分無愛想だなあ)
「この子は?」
「メアス・ルルーさんです。道端で倒れていた私を助けてくれたんです…でも、虫を見て気絶してしまい…」
「そうだったんだ。大変だったね」
「はい」
なんとなく部屋に居づらくなったので僕は外に出ることにした。
「起きたら状況だけ説明しといてね」
そう言い残してそそくさと宿屋を出る。
まずは薬屋へ行った。体力回復のレモンボトル、毒消しの空翔草、魔法力回復のメロンボトル、麻痺回復の動楽丸を買い、防具屋へ行き、マントを買う。防寒具にもなるから色々と便利なのだ。
買い物を済ませて宿屋へ帰るとメアスは起きていた。
「起きたんだね。良かった。」
「あんた?私を助けてくれたのは。」
「そうだよ。」
「ありがとうね。―でも。宿屋代は出さないよ。こんな立派な宿、高いに決まってるよ。」「別にいいよ。この宿屋を選んだのは僕だから。」
メアスはそうとうのケチなんだろう。高いと言っても一晩50Gだ。
「君達はなんで旅をしてるの?」
「私は金儲けのためさ。家が貧乏で少しでも楽がしたいからね。」「…私は修行の旅です…」
「そうなんだ。僕は…なんとなく、かな…
でも、妹を探してみるよ。」
いつもみる夢。その夢は何かを伝えようとしている。
だから、
夢に出てくる妹を探すことにしたんだ。
今では、妹の名前さえ覚えてない。
無謀な旅だけど、僕は、やるんだ。
変わるために―。