次に目が覚めたとき
2人は死んでいた
クレだけが血だらけで呆然と立ち尽くしている
オレはそのとき悟った
輪廻は止められなかったと
最後の敵はあの黒い塊ではなかった
もっと別のなにか
そんなことよりも
仲間を死なせた
2人には子がいた
2人の幸せや今までの営みを、オレは奪った
オレのせいだ
クレが近寄ってくる
血だらけのクレは見たことがない
真っ白だったバンダナも血で赤く染まってしまっている
『っちくしょう...ちくしょう...!』
悔しかった
もっと注意していれば
黒い塊が囮だともっと早く分かっていれば
こんな結末にはならなかったはず
謝らないと
2人の血を継ぐ者に
『負けたっ...くそぉぉっ!!』
ズンッ
怒りにまかせて地面を殴っても自分が痛いだけだ
『生きてるじゃない...生きてるなら負けじゃナイ。』
他の兵士が2人死んでも悲しい
あの2人が死ぬともっと悲しい
死にたい
死んで詫びたい
そう思ったけどクレがそうもさせてくれないだろう
結局
2人は死んで
オレとクレが残された
そして戦争は黒幕が消えたために終わりを迎えることに
『・・・』
2人だけになった荒れ地から空を眺める
心に穴が開いて
そこから風がふきとおってゆく
『オレは生きてる、生かされてるーーーーだから』
やるべきことは分かっていた
クレもそれは分かってるはず
クレは涙もろい
オレの横でずっと2人の名を呼びながら泣いていた
『オレ達は影になろう、影になって次の世代を導く存在になろう』
リトルブルーの血
それを受け継ぐ者を
導く存在に
『ぐすっ....う、..ん....』
クレはまだ泣いてる
オレだって泣きたい
でも今は泣かない
全てが終わるその時まで
オレは
今の弱い自分を殺して生きる
[どしたのぉ?]
[ん?]
美青が話し掛ける
オレは夢をみていたようだ
美青の後ろにはアクスア
[奴らがスバルに]
緊迫している
時は満ちたのだ
[分かった...計画を開始する]
耳にこだまする2人の声
[戦争まであと5日か....]
隣で美青が悲しそうな表情を浮かべていた