そこには、倒れている陽太の姿が。
体のあちこちから血を流している。そこに、絵里が通りかかる。
「あれっ??どぉしたんだろ・・・人がいっぱい集まって・・・」
人が集っている方に近づいていく絵里。
人の間に割り込む。そして、絵里が見たのは血を流している陽太の姿だった。
「えっ・・・これ・・・どぉゆうこと・・・?」
絵里が驚いて言うと、群集の女子生徒が話し出す。
「3年の男子が、ガラスにボールを当てて・・・浅居(陽太)君が
それに巻き込まれて・・・」
「うそっ・・・・・」
「それより、どぉするんだ?」
群集の男子生徒が言う。
「ほとんどの先生が出張で、しかも、保健の先生もいないし・・・」
「早く止血しないと大量失血で死・・・―――」
「私がやります!」
絵里が、言う。
「えっ・・・絵里・・・血は平気なの・・・?」
クラスの友達が、心配そうに言う。
「大丈夫だよ・・・一応、看護婦の娘なんだから・・・さ」
「そぉだっね・・・」
絵里が、陽太の横に座る。
「誰か、救急バックを持ってきてください!」
「あっ・・・うん!」
女子生徒の何人かは、保健室へ向かう。
絵里、ハンカチで出血してるところを押さえる。
救急バックが絵里のもとに来る。手を止める絵里。
「あっ、ありがと」
「いいの、いいの。それより、しっかりやるんだよ」
「うん」
絵里、再び手を動かし始める。
「・・・・!」
陽太目を覚まして、辺りを見回す。そこには、絵里の姿が見られる。
「あっ!良かった〜っ」
絵里が微笑む。
「あっ・・・俺は、どぉしてココに・・・」
保健室のベッドから起き上がる陽太。
「あっ・・・覚えてない・か」
絵里がイスに座る。
「陽太ね、ガラスでケガしたんだよ」
「えっ・・・!!!」
陽太、腕に巻かれた包帯に目を落とす。
「だったらさ、この包帯は誰がやったんだ?」
「あっ・・・それ、私がやったの!」
「あっ・・オマエ、血ダメなんじゃ・・・・」
「ダメだよ?血は」
「はっ??」
絵里、保健室のドアを開ける。
「だってさ、大切な人を守るんなら、このくらい平気になんないとネ!」
「・・・・」
陽太、黙り込む。絵里が微笑して、保健室から出ていく。