父さんから聞いた限り、妹は母親に引き取られ、その後母親は金持ちの男と再婚したらしい。世界の金持ちが集まるのはここ、バスタリアだ。だから手当たり次第聞いて回ることにした。
「じゃあ、僕は行くね。」
「ちょっと待って」
「…?宿代なら払っとくよ?」
「そんなこと当たり前。そーじゃなくって、私達も連れてきなさいよ。」
(こいつ…妹が金持ちの家にいるんだから運がよければ高値のもの、くすねられるかも…)
「なんで?」
「えっと、その…」
「メアスさんは、アイリンさんに助けられた御恩を返したいらしいです」
(ナイスフォロー!要)
「そうよ。あのままいたらどうなってたかわからないわ。とても感謝しているから…せめてお役に立てれば、ってね」
(なーんて。全部嘘だけど)
「ふーん。そういうなら、良いよ。一緒に行こう」
「ええ。もちろん!」
「メアスさんがいうなら…」
―こうして、僕は共に旅をしてくれる仲間を見付けた。
ただの偶然だとは思ってもいなかった―