with、、、?

由彩  2007-03-19投稿
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「綺麗、、、ねぇ、月がキレイだよ。」

「あぁ。本当に。」

「あたしたちを見てるみたいだね。」

「んー、あたしたちをじゃなくて、月はみんなを見てるんだ。」

「そうだけどさっ。」

「でも好きだよ。月。
優しくて、落ち着いてて、癒される。」

ふと彼の顔を見ると、ほほえみながらも真っすぐに月をみていた。
(サギだよねぇ、、、)
見つめるあたしに気付いたのか、そのほほ笑みをあたしに分ける。
たまらず、話を続ける。

「この月は、ずっとあたしたちを見続けてくれるかなぁ?」

「うん、きっとね。
日の光が届かなくなっても、今日のこの月の光は、僕達の上に輝いているよ。
むしろ、そうであってほしい。」

「シュウ、、、。」

繋いでいた手は、今、彼の背中にある。
何度彼の名を呼んだかわからない。
何度あたしの名を呼ばれたかわからない。
そっと髪を撫でられ、優しくキスをくれる。

「行きますか?」

「うん。」

浅くうなずく。
彼は、あたしの手をしっかり握る。
あたしも負けじと握りかえす。

「ありがとう。」

「愛してる。」

涙が止まらない。
彼の目も潤んだまま。

息を調える。
彼が静かに言った。

「合い言葉は、、、」

『満月がかける前に!!』



若い二人の声は、話し声から悲鳴に変わり、暗い闇へと吸い込まれていった。

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