陽が完全に沈み、辺りに暗闇と静寂がもたらされる。しかし俺とフロンの居る場所はなぜか明るかった。
「便利だな。それ」
俺はフロンの頭上の辺りを浮遊している空飛ぶ電球のようなものを指差しつつ言った。
「光の術道技『飛光』です。技力を光に変換して飛行させたい場所にあらかじめ光の安定核というものを作ってそこに光を供給する仕組みです」
細かいところは分からないがフロンの言わんとしていることなんとなく分かった。
「まぁ、そういう話は追い追い聞くとしてこんな暗い中どうやって二人を探すんだよ?」
辺りは既にまっくら。二人の居る場所だけが辛うじて明るい状況である。
「……どうしようね?」
ガクッ。
俺の肩が擬音を立てて崩れる。
「考えてなかったんかい!!」
と、俺たちがそんなやり取りをしていると、ふと、がさがさと周りの茂みがざわめく音が突然数ヶ所から聞こえ始めた。
「……何?この音」
俺は恐る恐るフロンに尋ねる。するとフロンは苦笑しながら言った。
「しまった。忘れてた……」
「な、何を……」
「この山ね。肉食で夜行性の獣が出るんだった……」
……。
「マジかよ!!」
その時だった。俺たちに向かって茂みから飛び出してきたいくつもの影が襲い掛かったのは。