その時、俺の体は自然に、流れるような動きで自身に襲い掛かろうとする獣に対し戦闘の構えをした。
「だぁっ……!!」
渾身の右ストレート。俺の拳は獣の眉間を捉え、そのまま貫かんばかりの勢いで押し返した。
「すごい!やるじゃん!」
自らも装飾の施された杖を手に、獣と対峙するフロン。
「すげぇ……。これが俺の力……」
俺は拳を強く握ると再び獣に対し構える。
「そっちは任せましたよ〜。ってわけで大地の術道技『地牙閃弾』!!」
フロンが言い切ると同時に獣達の足元の大地が膨れ上がり、爆発するように弾け飛んだ。
(広範囲攻撃能力を主とするのが術道技ってわけか。単体相手を前提とする武道技とは根本的に異なるな)
「さて、ちょいと昔の俺ならお前らに会った時点で死亡確定だろうが……」
飛び掛かってきた一体を裏拳で叩き落とす。
「今の俺なら……立場は逆転だっ!!!」
俺は極道院を出るときにチャンから貰った金のグローブをはめた両手に『力』を込め、獣達にその一撃をぶちかましてやった。
「拳に『技力』を込めて拳を打ち出すと同時にその勢いで光球に変換させた技力を真っすぐに放つ。これが……」
俺は右拳を強く突き出す。
「『拳砲』だ!!」