「もう、いい加減にせぇや!」
そう叫んだのは団長だった。
あたしたちがいつもの様に
ふざけていたときのことだった。
静まり返る体育館。みんなキョトンとしていた。さらに団長は続けた。
「俺等3年は今年で最後なんや。
もぅ二度とこの3の3のみんなと体育会 やることないんや!
だから、勝ちたいんょ。最後の体育会
やからこそ勝ちたいんょ………!
それに、うちらは3組やろ?
最近はずっと3組が勝っとる。やから
俺の代でこの3の3の伝統絶つわけには いかん。俺は去年の団長と約束したんや 。絶対優勝してみせますってな。
やから、協力してくれ。
俺らに最後の体育会の‘優勝’を、
…頼むからとらせてくれよ…………」
普段はあれだけ強気な団長が見せた涙。
気づけば3年の先輩達は
みんな真っ直ぐ前を見ていて、
その姿は真剣そのものだった。
あたしたちは気づいた。
自分達のしてきたことの愚かさ。
どれだけの人に迷惑になることをしたか。団結することの素晴らしさ…………。
あたしたちは、変わった。
いや、先輩達が変えてくれた。
…教えてくれたんだ。
みんなでひとつのことをやり遂げる、
…喜びを…。