第1話
「ピンポーン、ピンポーン」狭い部屋に高いインターホンの音が響く。冷たいフローリングに仰向けで寝て、天井を見上げて麻衣は言った。「またか・・・」テレビも電気もつけず、息を潜める。これが麻衣の日課だった。麻衣は19歳の短大生。友達が合コンやクラブに足を運び、または彼氏とデートをしていると言うのに遊び盛りの19歳の麻衣はすでに感情を捨てたロボットのようだった。
「行った?」覗き穴を見る。いないようだ。借金の取立てである。
麻衣は田舎から都会に出てきた女だった。夜のネオンがまるで輝く宝石のように感じた事もあった。都会は面白い。この面白さがきっと麻衣を地獄に落としたのだろう。