笑顔の向こうに

Ruck  2007-03-24投稿
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文化祭の興奮がさめやらぬまま、十二月の最初に行われた期末テストも無事に終わり、二学期最後の半ばにさしかかったある一日の帰り―――――――――――――――。


俺、池丘海斗と山田太一は自転車をこぎながら横一列に並んで帰っていた。

俺たちは小さい頃からの幼なじみで、部活も誕生日も趣味も一緒なほど仲良しだ。性格とはと言うと………太一はとにかくいつも明るくてなんか前向き?な感じ。何気にもてる。

俺はおとなしい方で、よく問題発言とかしちゃうね。ぢゃぁおとなしくないね(笑)



そんな俺たちの住む町は海が近い。幼い頃から海のみせる様々な表情に慣れ親しんできたが、慣れることで感動が薄れていくとは限らない。

俺たちは久しぶりに浜辺に行くことにし、近くに自転車をとめた。

風は冷たくて太一はその風を思いきり吸い込んだ。

目の前には目が痛くなるほどのオレンジ色の夕日がきれいだった。



「なんで海斗と夕日見なきゃいけいんだか…ムードねぇ。」

太一はそういって腰をおろした。


「こっちのセリフだよ。」

俺も真似て腰をおろす。隣で太一はふと時計をみた。

「やばッ!帰んなきゃ。海斗ど〜する?」

「俺はまだいるよ。」

「そっか。ぢゃぁまた明日な。」

じゃぁなと声を交わして太一は帰っていく。太一の家はおじいちゃん、おばあちゃんの三人暮らし。太一の両親は太一が三才のときに交通事故でなくなっている。


この町に引っ越してきたのもそれが理由だ。この町に慣れていない太一を、俺はいろんなところに案内した。最初にきたところが海だった。太一はすぐに気に入って、毎日この浜辺に遊びにきていたもんだ。



そんなことをおもいだしていたら、いつのまにかあたりは暗くなっていて、聞こえるのは波の音と――――――――――――――――――――――「ックシュン」―――――――――――――くしゃみをする音だけであった。




ん?くしゃみ?


俺はあたりを見回した。すると、海をみながら泣いている少女がいた。

よくみると、俺と同じ夕日ヶ丘高校の制服をきていた。

俺はほっておけなかった。

気がついたらその子の方に向かっていた。


でも何を話せば?

俺こういうの苦手…

大丈夫?って聞いても大丈夫にはみえないし…


あ!!そうだ。

俺はポケットに手を入れた。



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