「やっと見つけた…私のおやつ…ﾌﾌﾌ…」
勇はこのなまめかしい少女の声を聞いた時、とてつもない恐怖を感じたそしてその恐怖がさっきまでの怒りと悲しみを吹き飛ばしてした。
「何をぼーっとしてるの？こっちよ。」
勇の背後からその声は聞こえた。振り向くとそこにいたのは赤い露出度の高いドレスにを着ている美しい少女だった。歳は見た所、勇と同じ位で腰まである長く艶のある黒い髪、そして性的魅力と少女の可憐さがミックスされた様な顔、そして何より注目すべき点は彼女の眼がエメラルドの様な緑色をしていた事だ。
普通であれば彼女を一目見ただけで惚れてしまうのは間違いない。しかしなぜか勇が感じたのはとてつもない恐怖。彼女が発する生気を吸い取る様なオーラだった。
「お、お前…一体？」
「知る必要は無いわ。すぐに楽になるから。」
少女は甘い声で勇に詰め寄る。
「あれ？どうしたの？私が怖いの？」
勇は体が硬直して動く事が出来なかった。そして手足がガタガタと震えていた。そんな勇を見て少女は不思議そうな顔をしている。
「怖がらないで。優しく吸ってあげる。」
そう言うと少女は勇に抱き付いた。
その時勇はある事に気が付いた。
『こいつ…体が冷たい…まるで死体みたいだ…』
「おい！！何するんだ！！離せぇ！！」
「嫌。だって普通の人間の血は飲み飽きたんだもの。あなたみたいな特別な人間の血を飲みたいの。だから…離さない…」
そう言うと少女は勇の首筋に噛み付いた。
血が吸われて意識が朦朧としていく。
回りの景色がぼやけ体の平行感覚が無くなっていく。
そして体が浮かぶ様な気持ち良さ。
意識が無くなる間際勇はまたしても奴の声を聞いた。
『ｵｼﾞｹｽﾞｷﾔｶﾞｯﾃ。ｺﾉﾋﾞﾋﾞﾘ！！』
そして次の瞬間勇の意思とは関係無く少女の首の後ろを掴み強引に少女を引き離し腹を殴り飛ばす。そして少女が壁に激突し動きが止まり一瞬の隙が出来た。
『おいオニ！！約束が違うぞ！！俺の体は俺のものだ！！』
『ダマレガキ！！オ前ガ死ンダラ俺モ死ヌンダヨ！！オ前ミタイナビビリニ任セテルト殺サレルダロ！！ソレニ俺ガオ前ノ体ヲ支配出来ルノハ10分ガ限界ダカライイダロ。』
オニに体を支配された勇は神速の速さで少女に斬りかかった。
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