もうあいつの声しか聞こえなくて。
「ずるいよ」
もう一度あたしは言った。そしたら
「ずるいな。ごめん。でも友達に番号きいてかけたはいいけどお前の声聞いたらテンパって間違えたふりして切って、」
あいつは一気にそこまで言って。
まだ続いた
「けどやっぱ諦めつかなくてお前の部活の時間聞いて、わざわざ満員電車乗ったんだよ」
顔あげて見ると
あいつは赤面してた
それが嬉しくて、
「ふっ」
笑ってしまった
それから泣いた
「好き。」
あいつは言った
「あたしも好き、もうずっとばかみたいにあんたばっか目で追っーーーー
そこまで言ったとこで
「ばーか」
って言われたせいで言い切れなかった
「ばかって!」
「俺のことなんか目で追ってばかだよ、ほんと」
「好きだから」
恥ずかしい
「俺も好き」
そこに一つ遅い便で来た友達に呼ばれた
「あれ!あんた一つ前ので来たんじゃないの?!早くしなきゃ遅れるよ!!」
時計みたら
かるく1時間弱たってた。
あいつのほう見たら
「行けよ。じゃあな」
と言った
「またね」
「またな」
あたしは“また”があることが嬉しくてしかたなかったんだ
完