仏の子…まだ物心ついていない私に、徳の高い霊媒師はそう言ったそうだ。
先日、祖母が死んだ。
祖母は風呂に入る前、『また風呂で寝たら死ぬかもしれんから気を付けなぁいかんねぇ』と私に言い、風呂に向かった。
私はゲームをしていた。深夜になるまでずっと…。 眠くなりトイレに行くと、風呂の灯りがついていた。祖母がまだ入っているのだろうか。
もう3時間になるぞ…!
私はゾッとして祖母に声をかけた。
返事はない…
急いで風呂の戸を開けると、その瞬間わかった。
死んでる―――…!
一応何度も声をかけるが、返事はない。私は何故か冷静にお湯の温度を確かめている。多分、死亡推定時刻を調べて蘇生の可能性を探そうとしていたのだろう。
すぐに、隣の家にいる両親を呼んだ。2時間後には脳溢血だと検死の結果が出た。
どの道、もうすぐ死んでたらしいと、母に言われた。
死んで、2日後には灰になる。やりきれないが便利な日本の葬儀のシステム。
私は、あまり悲しくなかった。
悲しめなかった。
祖母を死なせたのは私だ。頭では違うとわかっていても、心がそう叫び、怒鳴る。
周囲の人達は、『君がいてよかった』『発見が早くてよかった』『神様が君を呼んだんだねぇ』と私を讃える。その度に私は自我が崩壊しそうな苦しみにあう。
仏の子だと?…神が使わしただと!?
神よ、仏よ…これが祖母への慈悲か…?
私がしたことが貴方達の仕組んだことなら、私は…貴方達と対峙する!
何故助けられなかった! 何故私を苦しめる!
貴様達なら助けられたろうに…!
私は…少しずつ壊れてる気がする…