突然の藍からの電話に俺は驚きを隠せなかったが、どこか懐かしさも感じていた。
何か、自分の周りが全て上手くいっていない気がする。そんな落ち込んだ時でもあったので、以前の知り合いと昔の事について語りたい、そういう気持ちもどこかにあった。
だが、藍はあまり長電話をする気はないようだ。
早々に、用件だけを切り出してきた。
「一真、平日とか空いてる?」
「平日…? まぁ…来週の水曜は何も入ってないけど…」
「じゃあ、久しぶりにどこかで会わない?」
えっ、という言葉を口から出す前に飲み込んだ。
「なんか懐かしくなっちゃって」
どういうつもりだろう。
だが、そんな事はともかくとして、俺も藍と久しぶりに話してみたい、という欲求は自然と湧き起こった。
それも、今の自分がむしゃくしゃしているからだろうか。
それは、自分には分からなかった。