藍色の時間 8

PO・M  2007-03-25投稿
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中から出てきた学生らしい男が、俺に声をかけた。
「阿藤さんに用ですか?」
阿藤というのは、藍の夫の性だ。
「阿藤さんとこは誰もいないですよ」
「えっと…どこかに行ってるのでしょうか」
本当は、藍がどこかを聞きたかったが、後の事を考えると藍の名前は出せなかった。
「奥さんが救急車で病院に運ばれちゃったみたいですよ。旦那はその付き添いみたいで」
「病院に…? なぜ?」
思わず敬語を忘れた。
「頭を打ったみたいで。ドメスティックバイオレンスって知ってます? そこの旦那怖いんですよ。奥さんよく殴られてたみたいで」
再び、俺の視界が曇っていくのを感じた。

俺は学生から聞いた病院へ急いで駆けつけた。
受付で藍の事を尋ねる。
「あの、木原…じゃなくて阿藤藍さんがいると聞いたんですけど…」
「御面会ですか」
「はい…あの、話せるんですか…?」
「現在は状態も安定して、意識もはっきりしているので、大丈夫ですよ」
「あの…運ばれた時、旦那さんが一緒だったと思うんですけど…」
「ちょっと待ってください」
受付嬢がパソコンを何やら操作する。
「阿藤さんの外傷は傷害の可能性があるという事で、御亭主は警察の方へ連行されたようです」



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