どうやら、自分が思っていたよりも事は大きいようだ。
俺は書類記入を済ませ、受付で聞いた病室に向かった。
ドアをノックする。
「どうぞ」
藍の声だ。
俺はドアを開けた。
「一真…?」
ベッドに藍の姿があった。頭に包帯を巻き、顔にもガーゼなどが見られた。
藍は、俺の顔を見ると、すぐに顔を背けた。
「どうして、ここが…」
「なんで、言わなかったんだよ」
俺は少しばかりの怒りを込めて言った。
「なんで言ってくれなかったんだよ。あの時、本当は旦那の事を相談したかったんじゃないのか」
藍は顔を背けたまま何も言わなかった。
「そんな旦那とは別れろよ……。その…俺も、力になるからさ」
「違うよ」
藍が一言、言った。
「違うって…何が」
「私は相談したかったんじゃないの。卒業アルバムを見てて…本当に懐かしくなっただけなの。ただ、一真と話したかっただけ」
「だから、それが…」
俺を想ってくれているからだろ、と言いたかった。
「一真…違うよ。一真はきっと、私が好きだって思い込んでいるだけ。本当は私が好きなんじゃない」
「何だよ、それ…。俺は本当に……」