1年前の彼女 前編

PO・M  2007-03-25投稿
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「もしもし…。大場、聡くん…いますか…?」
高校の同級生の一周忌の墓参りから帰り、アパートの部屋に着くなりかかってきたその電話の主の声に、俺は動揺を隠せなかった。
それはつい先程、参ってきた墓に眠る筈の、神谷美奈の声だった。
「俺だけど…」
やっとの思いで答えるが、それだけの言葉を発するのが精一杯だった。
そんな筈はない。
彼女はとっくに、この世にはいない人なのだから。
きっと声のよく似た別人なのだ。俺は自分にそう言い聞かせた。
だが、次の相手の言葉に俺ははっとする。
「…さっきは…ひどい事言って、ごめん…」


1年前、高校3年の頃。
俺と神谷は互いに惹かれ合っていた…と、思う。少なくとも、俺は神谷の事を心に想っていた。
でも、受験の問題もあって、ある時、俺と神谷は些細な事でケンカした。今に思えば、後悔するほどの、本当に些細な事だった。
一晩考えた俺は、神谷に謝り、自分の想いを伝えようと決心、翌日の夜に公園の方へと神谷を呼び出した。
…そして、来る途中で神谷は事故に巻き込まれ、この世を去る事になってしまった。

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