数日経って、振られたショックから立ち直りつつあったある日、私宛に電話があった。
家の電話だ。
「もしもし、私春山茂樹と申しますが、佳奈さんはいらっしゃいますでしょうか」
「私ですが…」
「あ…、あの、僕は遠山さんの友達の春山茂樹といいます。」
遠山は私が振られた日偶然に私に電話してきたあの子。
すぐに私に男を紹介してくれたんだとわかった。
「はい。あ、はじめまして‥」
「あの…突然でびっくりさせてしまったかもしれないけど、なんか遠山が、友達が彼氏に振られて落ち込んでるから電話してやって欲しいって…。」
はあぁあ?
遠山め、どういう言い方したのよ!!
まるで私が惨めな女みたいじゃない!
「私、別に話し相手なんていらないし」
「え?なんか怒ってる?」
「別に」
「ならいいや」
何だろう…
軽い感じの人だなぁって思ったけど、話しやすかったし、思いのほか長話しになった。
その後も何度か話すようになって、自然と会う約束をしてしまった。
まあ、そうなるよね。
約束の日、駅のホームの階段でいち早く私だと気付いた彼は、固い表情で私に近づいてきた。
「佳奈さん?」
「はい」
「ども、春山です。」