フェンス 【 君と僕との距離 】

オズ・クレマン  2007-03-25投稿
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━━ 僕の住む国と、隣りの国との国境は ちっぽけなフェンス



低くて短いけれど
それは、 僕等にとって越えられない距離だったんだ ━━━






君との出会いは、突然だった


僕が空を見上げてたら
君が声をかけてきた フェンスの向こう側から



「 ねぇ、 空ばかり見てて楽しい?」


フェンスの向こう側の人間と話しをすることは、 いけないことだったけれど

君の声が あまりにも美しかったから、 僕はもう一度 その声が聞きたくて、 君に返事をしてしまった



「 空は 自由だから、好きなんだ。」

「 空って、自由なの??」
「 自由だよ だって、空には国境なんてないだろ? 」




君が見る空と

僕が見る空は

同じ色をしているのに
この空は繋がっているのに


どうして大地は

君と僕が繋がることを許してはくれなかったのだろう




「 あなたの名前 なんて言うの?? 」

「 望 」

「 望 良い名前だね 」


「 君の 名前は? 」



教えないよ、 だって 教えたら、望は私の名前 呼ぶでしょ? 」



一瞬、君が何を言っているのか 理解できなかった

けれど

空襲警報のサイレンが鳴り響いた時、 僕はそれが何を意味したか 知る


「 バイバイ 」


そぅ 言って、君はこの場所から去ろうと後ろを向いて走り出した


「 ────っ !」



僕は 君の名前を知らないから、君を呼び止めることも出来やしなくて

君が見えなくなるまで 声にならない 言葉を君に向けて 叫んだ






「 ─── 、 ズルいな・・・ 」



君に芽生えていた恋の感情を 口に出したくなくて、呟いた言葉も

空襲警報のサイレンによって かき消された








→ end



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