19歳

さくら  2006-01-28投稿
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その日、麻衣は学校に行った。何日ぶりだろうか。授業を終えた後遠くからミニスカートの女が走ってきた。
「麻衣〜!!久しぶり。彼氏とプリクラ撮ったんだ!あげる。」えみだ。麻衣はいつもの笑顔で答えた。学校での麻衣は家とはまるで別人だった。明るい、楽しい、いい子なんてベタな言葉で言えるほどの人格だった。
「麻衣は?彼氏とプリクラ撮らないの?ちょうだいよ。」
「彼氏がプリクラ嫌いだから・・」麻衣は遠くを見て言った。
楽しそうにしゃべる学生の集団、カップルそんな平凡な風景だった。
すると遠くに見覚えのある車が1台止まっている。携帯が鳴った。
「あれ、麻衣の彼氏じゃない?」
「ごめん、行ってくる。授業もうないから。」
麻衣はえみにバイバイも言わず、男の車の方へ走り乗り込んだ。
車の中は異常なほどの音量で音楽がかかっていた。麻衣が聴きなれた邦楽さえ恐怖を感じるほどの音量だった。鼻をつくたばこの匂いに頭が痛くなるほどだった。
「迎えに来るなんて珍しいね。どこ行くの?」
「・・・・」
男は麻衣のアパートの前に車を止めた。
「麻衣、お願い。金借りて。50万。」
「どうして?そんなお金借りれない。」麻衣は眉間にしわをよせた。男は自分が借金しているお金の返済が間に合わず麻衣を頼ったのだ。
「もちろん、お金は毎月俺が払う。麻衣は名前を貸してくれればいいから。お願い。こんな事言えるの麻衣だけだし・・俺には麻衣しかいないから。」
麻衣は下を向いたままうなずいた。この人には自分しかいない。今はお金で困っているだけで、お金の問題がなくなったら、きっとまた前みたいにプリクラを撮ったり、買い物に行ったり普通の恋人のようになるはず・・・麻衣は自分に言い聞かせた。何回も何回も言い聞かせているうちに麻衣の名義で借りたお金は100万近くになっていた。

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