スプラッタ殺人2

森田  2007-03-26投稿
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『連続猟奇殺人事件』

テレビをつけると、そんな見出しが目に入り、俺はため息をついた。


「この事件がなけりゃ、実家に帰ることもなかったな…」


テレビを眺めると、無差別殺人、死体を切り刻む残虐な手口など、事件の異常性を示す言葉が並んでいる。


「四人目の被害者か…」


半ば煽るように報道される記事に、俺は偽りな平和を実感した。


昔だったら、こんな記事は検閲でもみ消されていたに違いない。


国民の士気を削ぐ…と言う名目で…。


被害者の中に『倉冨佑一』と言う名前を見つけて、俺はかつての親の顔を思い浮かべた。

そう、あれは一週間前――。









高校を卒業したまま次の職にも就かず、ボロアパートを借りてバイト生活をしていた俺に―――。


何ヶ月かぶりで、親父が会いに来てくれたことが、全ての始まりだった。


「急に訪ねてしまって、悪いな、正志」


「悪いと思ってないから来たんだろ」


元来、人と接するのが苦手な自分、親だろうとそれは変わらない。

だが、高校卒業からバイトに就くまで、親父にはかなりお世話になった。


暇人な毎日を送っていた自分には、ありがたい来客だった。


だが―――。


「猟奇殺人?」


「そう。この地区の連続猟奇殺人事件…いま世間は蜂の巣を突いたような騒ぎだ。知らなかったのか、正志?」

生憎、んなことには興味がないもんで……。

「知らんな。まず新聞とか取ってないし」


テレビも一応あるが、ニュースなんてまず見ない。


「そうか。まぁ、こんな生活をしていれば、それも無理はないかも知れないが…」


呆れるなら金をくれ。人生できる限り楽して暮らしたいんだ。



「まぁいい…中でも、この事件は極めつけだぞ。一月もしない間に三人も殺しやがった」

少し微笑んで話す親父。


「三人…か」


その三人に選ばれなかった俺は幸運だね。


「発見された死体は、揃って異常な有様だ。日本で、ここまでの猟奇事件は珍しいな…」

まず猟奇事件って時点で珍しいから。


「お前、結局何が言いたいの?」


そんな俺の問いに、幽かに苦笑して、佑一は肩をすくめた。


「それがね…お父さんその殺人鬼に狙われてるんだよ」



























それから数日後


世間を騒がす猟奇殺人犯は


四人目の被害者を手にかけた



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