今日、大好きだった彼女が僕のことを忘れた。
僕を見る、彼女の怯えた瞳を………僕は見た。
脳裏を過ぎるのは、彼女との大切な日々。
優しい思いで。
そして、彼女の笑顔。
ずっと一緒だ……そう言ったのは僕なのに、それすらもう果たせそうになかった。
『君の彼氏は俺だ』
しばらくして、僕が親友だと信じていた人に裏切られていたことに気がついた。
彼は、放心状態だった僕よりも先に、彼女にそう告げた。
彼は、彼女のことを、ずっと想っていた。
彼女は、そんな彼の言葉を信じて、彼の前でだけ笑うようになっていった。
それが辛くて……
苦しくて……………
君を一番愛してるのは、僕だって言えなくなった。
記憶を無くしたあの事故が、例え彼女を手に入れようとした、彼の犯行だと知っていても。
彼女は彼の前でしか、もう笑わない。