10年ほど前の話になる。
世界は、狂気で満ちていた。
ところどころに、人間が転がっていた。
町に生気は無い。
ここは、【北の終わりの町】。そう呼ばれていた。
夏は涼しく、冬は極寒の地となるこの町の人口は、数万人といわれている。
その数万人が、町のところどころで、死んでいる。
皆、体を切り刻まれていた。何者かに。
町の中心に、一人の青年がいた。
その青年こそ、狂気の始まり―――\r
「それが、『リヴァ』何でしょ?それぐらい、誰だってしってるわ。」
アヤメが言った。
それもそうだった。
その事件はあまりにも有名で、誰もが知っていることだった。
ホセが言う。
「はい。しかし、この事件が何故起きたのかは、誰も知らないんです。いや、極僅かの人にしか、知らされてないんです。」
ロイドとアヤメが顔を見合わせる。
そして、リファを見た。
「・・・リファは、知ってるん・・・・・だ?」
ロイドが恐る恐る訊いた。
暫くの沈黙の後、リファが肯いた。
「そっか。どうしてっ・・・それを、ホセさんが説明してくれるのよね?」
「はい。今から説明しましょう。」
ホセが続ける。
「それより、『リヴァ』と僕たちについて説明したほうが良さそうですね。」
ホセがリファを見た。
「うん。僕もそっちから説明したほうが、分かり易いと思う。二人とも、いい?」
ロイドもアヤメも頷いた。
「では、続けます。【北の終わりの町】、僕たちは、そこの研究所の研究員でした。そこの研究所には、親や、身の回りの世話をしてくれる人がいない子供だけが集められ、研究員として育てられていきました。僕たちも、その
中の一人でした。そして、その研究所では、あるモノを開発していました。」
ホセが話を切った。
アヤメがすかさず問う。
「あるモノ?何?それは。」
少し間が空いて、ホセが慎重に言った。
「それは・・・人工人間です。」
続く