『新しいバイトの子が今日から来るんだってよ!』 ずっと人手不足だったところにようやくきたバイトの子だった。 店の扉が開いて緊張気味に会釈をしたその青年に私は目を奪われた。 17の時もうこれ以上好きになれる人はいないと思った人が20を目の前に死んでしまった。ずっと心から離れなかったあの人が扉を開けて入ってきたのかと思った。 心臓がバクバクして息苦しささえ感じた。 その時、彼は19才、私は32才。 でも私は…もう無くしたくないと思ってしまった。 年の差も、バツイチも全部頭から吹き飛んでただ欲しいと願ってしまった。 私はパートの中でも古い方だったからシフトもある程度融通がきいたので彼の指導をするという名目で週に二日一緒に仕事ができた。 冗談をいい、ちょっと頼れるおばさんを演じながら少しでも彼の側にいたかった。知りたいと思う気持ちが日に日に強くなった。 でも結局携帯番号一つ聞くのに一ヵ月近くかかってしまった。いまさら何かわいこぶってるんだか。と自分で呆れてしまうほど会うたびにドキドキは高まっていった。