ヤス#21

チャーリー  2007-03-27投稿
閲覧数[468] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ヤス#21
海峡の真ん中で岩が動いた。岩に見えたのだ。大きな岩が右から左にユラリと動いたように見えたのだ。
「な、何?…何かが、動いたぞ!」
ヤスは完全に固まった。見間違いかとも思った。だが、それは確信に変わった。
龍だ!龍が動いている!岩だと思ったのは、龍の頭だったのだ。
金色の目が光っている。そして、そこから右に、背中がコブのように三つ、海面から出たり入ったりしている。百メートルはあるだろう。月光の下、ウロコがキラキラと輝いている。金色に光っていた目が二つになった。こちらを見ている。ヤスは恐怖におののいた。慌てて雑木林に逃げ込んだ。南竹の薮に飛び込んだ。
南の風が吹き出した。先程まで煌めいていた満天の星が、どこからともなく湧きだした黒い雲に覆われていく。暗闇と化した。風はいよいよ強くなり、ヤスが潜んでいる南竹がざわめきだした。遠くで雷が轟いている。稲妻が天空を横に走り、嵐になった。海が荒れ、しぶきが飛んできてヤスの顔を洗う。舐めると塩辛かった。
「ハア、ハア…やっぱりいたんだ…龍がいた。さっきのサトリはこの島の番人かもしれないな…」
「ようやく分かったか」「うあっ!…脅かすなよ」




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 チャーリー 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
KARAも虜になる!
紅酢をお試しあれ


▲ページトップ