「なぁフロン?」
「……はい。何でしょう?」
俺もフロンも互いの方に顔を向けずに辺りに目をやる。
「これは……いるよな」
「いるでしょうね……」
俺たちは立ち止まる。
先程からの草群からの物音。またさっきの奴らだろうか?
「……」
俺は静かに身構える。が、一向に茂みの奥に潜む何かは出てこなかった。
「……囲まれましたね」
フロンの言葉で俺も気付いた。まさかこいつら最初からそれが目的で……。
とか考えていると茂みの奥から妙に甲高い声が聞こえてきた。
「アンタたちデスか〜い!!ウ〜チの子猫チャン達をイ〜ジメたのは〜!!」
変。とにかく変な奴だった。声だけでも変なのに格好も変だった。
緑のモヒカン。明らかにこの時間は要らないであろうサングラス。紫のタンクトップ。迷彩柄のズボン。そして手には極太の鞭。
「……変態?」
俺のさりげない呟きにうんと頷いて賛同するフロン。
「ムキャーーー!!いきなりシツレイじゃーないのー!?」
体をくねらしながら怒鳴り散らす変態。
「じゃああんた誰だよ?」
俺は至極面倒だったが一応聞いてやった。
「フッフーン!!聞いてオドローくなよ。ワターシの名前はスケルッチ!ヴァミオラ盗賊団のアニマル使いヨー!!」