「くそ、時間がないというのに…」
ソルトは、船内図を手に廊下を歩いていた
ドン!
「きゃ…。すいません」
「いや、こっちこそ前をみとらんで…」
廊下の曲がり角で、誰かとぶつかり慌てて謝った
そして、相手の顔を見る
「……」
「本当にすいません…急いでいたもので…」
ぶつかった相手は立上がり、ソルトに手を貸して起こすとそこから立ちそろうとした
パシュン
ソルトは、腰のホルスターに吊していたサイレンサー付きの銃で立ちそろうとしたラテを背後から撃った
ラテは、その場に倒れて深い眠りについた
「まったく…どこへ行きやがった。あと、探してない所はどこだ?」
「…Cフロアより上だな」
「まだ、そんなにあるのかよ…」
廊下で整備士の格好をした若い二人が話をしている
「無駄話をしとらんと、体を動かしたらどうじゃ?」
二人に、大きな袋を担いだソルトが笑顔で話をかけた
「あ。すいませんソルト中佐殿」
「ワシはお前達と違って忙しいんでな、失礼するよ」
「はい」
二人は敬礼し、ソルトの後ろを見送った
「何だ?あの袋は…?」
「さあ?あの爺さんは変わりもんだからな」
三人が監禁されている倉庫では、誰も口を開く者はおらず沈黙の時が流れていた
「ただいま…」
そこへソルトが帰ってきた
「……」
三人が無言でソルトをにらみ付ける
「元気がないようじゃな…これを見せればどうかの?」
そう言って、持ってきた袋の口を開いた
中から、ラテが出てきた
「ラテ!」
それを見て三人が同時に声をあげた
「ラテ、大丈夫?」
三人は必死に声をかけるが、ラテはピクリともしない
ソルトはそんな事は気にしない様子で、ゆっくりと口を開いた
「さて、これで全員そろったかの」
廊下で話をしている二人に、整備士の格好をした背の高い口髭を生やした初老の男性が話しかけた
「いつまで、探しているんだ…たった四人の女も探せんのか?」
一人が申し訳なさそうに答える
「あ…。ペッパー大佐殿…申し訳ありません、まだ見つかっておりません。しかし、まもなく…」
「まあ、良い…作業の方は順調なようだからな…まあ、どちらも時間の問題だろう…失礼する」
二人は敬礼をして見送ると苦笑し、同じ事を言った
「どうも苦手だな偉い人と話すのは…」