部活だけを楽しみに学校に来ている生徒には、とても長く感じられる授業。それが全て終わり、放課後になった。
「慎治!大和!」
真也は声をかけた。
慎治と、同じ卓球部でエースの大和は同時に振り向いた。
「これ見れ!これ!」
「あん?…新しい卓スポ…?」
慎治が真也の持っている雑誌を覗きこみ、大和も面倒臭そうに見る。
「オレ写ってんよ!」
『何ぃ!?』
慎治と大和が声を合わせて叫んだ。
真也を押し退け、二人が雑誌を手にとる。
10秒ほどして、二人同時に爆笑しはじめた。
「写ってるこた写ってるけど…これ!お前!ブハッ!」「真ちゃん!これあんまりだろー!アハハハ!」
将来性ある高校生を取り上げている記事、『期待のホープ・山本!』にある他校の山本選手の後ろで、真也が股間を掻いてだらしない顔をして写っていた。
*
【カッ!キュカッ!バキン!】
普段は阿呆げな真也達も、部活になると変わる。
皆顔付きが違うし、雰囲気も少し近寄りがたいものがある。
真也は普段目が細いが、卓球になると目をカッと開いて別人になるし、慎治は軽い感じが抜ける。
【ガシュ!】
慎治がボールが床スレスレまで落ちてくるのを見計らい、ドライブを打った。
『…そんなもんで!!』
【キュキュ!カッ!】
真也は台から飛び退いて後ろでカットする。
慎治もそれをカット返球用で返す。
そんな攻防を繰り返してる内、慎治の放ったドライブが変化を見せた。