人生逆転ブローチ

ゆめの  2007-03-28投稿
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一度でも、僕は認められたことがあっただろうか。


「ちょっとどこ見て歩いてんのよ」
「…すみません」
「気を付けてよね」

この女性もきっと、僕を一目見ただけで分かったんだろう。
僕が何も言えないということに。

小さい頃から弱虫で、女性にもモテなかった。
生きている価値のない人間。

でもこんな僕にも、帰る場所がある。

「ただいま、ヒロ子」
「おかえり」

幼なじみのヒロ子。
訳あって一緒に暮らしている。
きっと僕のことを好いてなんてくれてないだろうけど、それでも。
いつもヒロ子だけが僕の救いだったんだ。

そしてヒロ子は、僕の唯一の欲求。

そんな、ある日のことだった。


「…なんだこれ…」

僕は会社が休みでやることもなく、一日中パソコンをいじっていた。
行き当たったサイトに、見慣れない広告があった。

「あなたの人生逆転させます…?」

"人生逆転ブローチ"

アクセスしてみると、緑色のブローチの写真。

「これを付けると、周りの人のアナタのへの価値観が逆転します…どういうことだ?」

くだらないと思いながらも僕はなぜかどんどん読み進めていた。



そして気づけば僕は、購入ボタンをクリックしていたのだ。



ツヅク



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