夏の木漏れ日

夏美  2007-03-28投稿
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ジリジリ…ミーンミーン…ザァザァ。虫がなき、山が騒ぎ、風が唸る。ここは街とは無縁の小さな田舎の村。
『あちぃ〜m(__)m…なぁ山行こうぜぇ〜、あのでっかい木の下は日陰だから涼しいよ?!』と、活発な少年。
『えぇ〜(*_*)俺、家で涼んでたほうがいい〜』こう言うのは内気な少年。
『いいから、いいから、今日はその木がある山で、クワガタ取んだ!』
『クワガタ?!俺虫苦手〜(>_<)』
『じゃっ、一回家帰って、1時にいつもんとこな!』
『人の話なんも聞いてないし…』
太陽の下、少年は待っていた。
『おぉ〜、キタキタ!なんだよその格好〜』
『だって虫に刺されたらいやじゃん!』
『よしっ!いくか!』
『はぃはぃm(__)m』
空はいつもと同じく澄んでいて、吸い込まれそうな色をしていた。
『いたいた〜、でもあんな上じゃあ届かないよ!?』
『こうすんだよ』…ドンッ、バサバサ。。
『うげっ、たくさん落ちてきた…』
『大収穫だよ!』
『うん。でも疲れたから一休みすっか!』
少年達はこの山ではたぶん一番大きな木だと思っている、木陰に移動した。
『うわぁ〜、すっげぇ〜。』
『光が俺達を包んでるみたいだな!』上を見上げはしゃぐ少年。少年にはその大きな木はまるで、この世のものではないようにさえ思えた。
…………………
『今、あの木はあるだろうか…』もう七十歳を過ぎただろうゴツゴツした男が言った。
『懐かしいのぉ〜、ちょっと行ってみるか…』
彼が行ったのは少年頃、遊んだあの山だった。
しかし、そこはもうたくさんの住宅に囲まれ、高層ビルに呑まれ、あの美しい景色はどこにもなかった。
『あぁ〜、あの頃が懐かしい』と黄昏れる老人が一人、呟く。

自然は大切にしたい、そんな思いも届かない。少年よ。今を生きよ。これから山は削られ木々は減少していくだろう。思い出は穿かないが綺麗に残る。今の内に自然を堪能しておくことが大切だ。
あの木陰は二度と戻ってはこないのだから………。

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