PERSON OF TASTE《?》後編

73  2007-03-29投稿
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「は?んな訳ない…」
しかし鏡台の鏡にうつる私の目は少し赤くて、涙が伝った後がすじとなって残っている。
「大丈夫か?怖い夢でも見たか?人に話すといいんだぞ。」
春紀は小さい子どもでもあやすかの様に私の頭を撫でながら言う。
私はそんな姿が可笑しくて、少し笑ってから言った。
「ありがとう。でも大丈夫だよ。昔からよくみる夢なの。すごく切ないんだけど、幸せな気持ちにもなる、そんな夢…。」
私のこの言葉に春紀は安心した顔をみせたが、その反面、寂しそうな表情もみせた。

私の強い要請で春紀とはバラバラに登校する事にした。教室につくと麻衣が“おはよー”と駆け寄ってくる。いつもと変わらない平和な朝だ。
「聞いたよー。昨日、春紀さんと仲良く帰ったらしいじゃん?」
「げ、もう広まってんの。勘弁してよ。」
春紀と私はイトコだが、苗字が違う。だから、知らないヤツは恋人だとか勘違いして騒ぎたてるのだ。
「まぁ、私はそんなんじゃないって知ってるから安心してよ。だって美咲は神谷さんだもんねー」
「そ、そんなんじゃ…」
心なしか動揺している自分がいた。
「そんな美咲にお願いがあります。ここに遊園地の無料券が四枚あるの。予定では美咲と私とあと二人。」「まさか…」
私は嫌な予感がする。
麻衣はニヤリと笑う。
「春紀さんと神谷さんのイケメン二人、よろしく。」「…誘えってか。なんで春紀まで。」
「だって春紀さんってかなりタイプなんだもん!」
「あ、春紀狙いなんだ」
まぁ、麻衣ならいい子だし、いいかもなぁ〜なんて考えている自分がいて。まるで春紀の保護者気取りだ。
放課後に近づくにつれ、うるさくなる心臓の音。
神谷に話したい事たくさんある。とにかく“会いたい”と思える人に私は出会ってしまったのだ。

続く



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