龍雅「これで気が済んだか?」
うずくまる隆也に対して 冷徹な言葉を言い放つ。
龍雅「安心しろ、俺と綾香の間には何もない」
綾香は不安な表情で一部始終を見届けることしか出来なかった。
そんな綾香に龍雅はそっと声をかけた。
龍雅「こいつを連れて帰れ、その内に目を覚ます」
その場を立ち去ろうとした龍雅の目の前にフラフラの隆也が立ち塞がった。
隆也「…ま…待てよ……」
隆也は龍雅の両肩を掴み、危機迫る表情で睨み付けた。
隆也「もう綾香との関係なんかどうでもいい!!……てめぇ、よくも俺を殴り飛ばしやがったな!!」
隆也はその体勢のまま龍雅に頭突きを繰り出した。
龍雅はそれをかわすために後ろにのけ反る。
その様子を伺った隆也はズボンのポケットから刃渡り15CMのサバイバルナイフを取り出し鞘を抜き捨てた。
隆也「しねぇぇええ!!」
隆也がナイフを振り回しはじめると龍雅の表情から余裕の笑みが消えた。
龍雅「暴力の次は武器か?変わり身の早い奴だ」
隆也「お前みたいな男はむかつくんだよおおお!!」
隆也がむやみに振り回すナイフを龍雅は軽い身のこなしで回避する。
綾香「隆也あああ!やめてよお!!」
綾香は涙ながらに訴えるが通じそうにない。
隆也「どうしたぁ!手も足もでないかぁ!!俺を殴ったことを後悔させてやる!!!」
依然として回避を続ける龍雅だったが次の瞬間体を一つ余分に空けて回避した時、隆也がよろけた。
龍雅はその隙をついてナイフを持っている隆也の右手を弾くとそのまま腕を引っ張り、肩固めに持って行った。
隆也「ち…畜生!!…放せ!!」
龍雅「悪いがお前に費やす時間が無駄なんでこの辺で寝てもらう……それに……」
龍雅は一気に技を締め上げた。
龍雅「お前みたいな雑魚はムカつくんだよ」
隆也は激痛の余り、気を失った。
龍雅は立ち上がり、土を払うと泣き崩れる綾香に近寄った。
龍雅「……すまない、お前の愛する人間に酷いことをしてしまった。もっと軽く済ませるつもりだったが。しばらくしたら起こしてやってくれ」
そう言い残すと龍雅はディア=パノスに乗り込み、立ち去った。
綾香はただ、その姿を見つめるしかなかった。