銀河の果てに一つの惑星があった。名を天星と言う。そしてその天星には２つの衛星があった。名を甲牙星、伊牙星と言う。二つの衛星の一族は共に天星の王族に対して衛者を出すしきたりがあり、守護星としても重要な役割を持つ星であった。
「姫様！あまり不用意に外に出てはなりませぬ！何者が狙うやも知れませぬぞ」天星王の娘レミアは教育係のソムに嗜められ渋々扉から身を放した。ソムが言うのには訳があった。つい先ごろレミアの誕生祭の折、何者かがレミアを命を狙ったのである。その際、伊牙星の守護忍によって身の安全は確保できたものの、守護忍が深手を負い守護者としてレミアを守れない状態なのだ。急いで代わりの守護忍を探してはいるものの未だ連絡が無い状態なのである。そんな訳もあってソムも戦々恐々なのだ。遠く離れた小高い丘の上から屋敷の小さな窓を通してその光景を覗く人影があった。人影はスナイパーライフルを肩付けに構えると機械義眼でライフルの標準を定めた。引金に力が入ろうとするその瞬間、人影の後ろに新しい人影が現れた。ライフルを持った人影が身を翻して新たな人影に鋭い眼差しを向ける。「何者！」問い掛ける声は女性のものだった。対して問いかけられた人影はその問いには答えず言った「くノ一か」それ以上語ることも無く新たな影は背に負った刀を抜いてくノ一に近付いた。くノ一もライフルを置き、腰のクナイを抜いて言った「甲牙忍具『炎牙』！」言うとくノ一はクナイの根元にあるスイッチを押した。見る見る赤く灼熱色になるクナイ。そのクナイを見て新たな影も抜いた刀の柄の端を左手で回して言った「伊牙忍具・・『鋼斬り』」対峙するとくノ一が言った。「やはり伊牙者か。待ち伏せとは小賢しい」くノ一はそう言うとクナイの炎を止めた。「お前と闘いに来た訳ではない。今日は引こう」と言うと掻き消す様にその場から居なくなった。
「俺の名はハヤテ。またすぐに会うことになる」
ハヤテは刀を元に戻すと誰も居なくなった場所に話しかけた。彼の名はハヤテ。新しくレミアを守る守護忍である。そしてこれから、伊牙と甲牙の激しい戦いが幕を開けようとしているのだった。
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