剣道?

ちか  2007-03-29投稿
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ある稽古会の時





最高位の段を持つ先生ばかりが集まる稽古会に、我が大学の剣道部も参加する機会があった。






ああ………やはり強い。



年は老いても、冴えは体力ばかりある若者よりあり

むしろ無駄な動きが無く、気がつけばやられている感覚だ。






これが………八段の実力、か。

矢倉さんは自分も掛かろうと思い、先生に申し込みをした。

「お願いします!」


矢倉さんは必死で掛かる。
もうすぐ、全日本選手権がある。
矢倉さんは1年生ながら参加が出来た期待のホープだ。






結果から言えば、その年矢倉さんは3位ではあったが。






一方先生の方も矢倉さんの実力を知らない訳では無いから、手加減などいっさいしない。


激しい打ち合いは続く………

…………あれ?



矢倉さんは気味の悪い違和感を感じた。
何だ?この寒気……

だが、手を休めるなど出来ない。
気を抜けば容赦なく打たれる。

……………。

なぜ…こんなにも体温が下がるのだ?

何で………今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる?

俺は───…







何にこんなに怯えているのだ………



ふと……先生の後ろに

「え」

赤い鬼が…見えた。


パ───ンッ!


面をばっくり取られた。
でも、そんなことどうでも良かった。


俺はその場で立ち尽くしていた。
鬼は、笑っている。

「矢倉?」


先生は手を休め、どうした、と顔を伺った。

何といえばよいか分からなかった。
何でもないです、すみませんでした、としか発することが出来なかった。

先生は何かいいたげだったが、太鼓を鳴らして稽古の終わりを告げた。

初めて………俺は得体の知れない存在を感じた。

と、同時に周りが言う背後の武士らしき存在を信じ、吐きそうな感覚に襲われたのだった。



「……それでも平常心を保てたのは、長年の剣道で培われた精神力のおかげです。」

だが





それより少し後に、さらに恐ろしい体験をすることにまだ…矢倉さんは気付いていなかった。

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