3月13日 紅白戦終了後
部員それぞれが自分の家で様々な生活を送っていた
【天堂寺家】
何も言わずに帰宅した天堂寺はすぐさま2階の自分の部屋に入った。
『バタン!!』
ドアの閉まる音だけが響く。
天堂寺はタバコを手にとり火を付けた。
窓を空け冊子に座り黙々とタバコをふかす。
1階では酒浸りの父が何か叫んでいる。
しかし天堂寺はいつものことだと思い、タバコを吸い続けた。
エース、天堂寺翔。
彼の野球センスは間違いなく父から受け継いだものだった。
彼の父、天堂寺茂(テンドウジシゲル)は白羽高校で甲子園に出場した捕手だ。
しかし、早くからスター街道を走って来た茂は高校を出て間もなくして結婚。そして、浮気、離婚…。
今では仕事もせず家で酒浸りの毎日を送っている…
家族の収入は別れた母からくる少しのお金と祖父、祖母の年金。
あとは茂のギャンブルで得たお金だった…
『ショウ!!帰ってんなら言えよ〜!!こちとら昼間っからオメェの帰りをまってんだぞ〜!!』
茂の声だ。
ハァ〜っと溜息をついた翔は
階段の下で待っていた酔っ払いの父を振り切り外に出た。
手にはグラブとボールそしてタバコを持って…
向かった先は公衆電話だった…
【不破家】
『ただいま〜』
カズマは元気よく帰ってきた。
家には父正樹(マサキ)と兄正介(ショウスケ)がTvを見ていた。
カズマの父正樹は藤城町の役場に勤務している。また、曽我端のように審判もやっている。
兄正介は藤城町の隣、龍ヶ岡市(リュウガオカシ)にある私立高校に通っている。
もちろん兄も野球部。しかもキャプテンだ。
そんなエリート家に生まれもちろんカズマもエリートとして育った。
休みが合うとカズマ、兄正介、父正樹と3人で野球をする。
仲のいい家族。
しかし、父も兄もエリートコースを進み自分もその道を進まなければいけない。
ということにカズマはプレッシャーを感じていた…
Trrrr…Trrrr
電話が鳴る。
『俺出るよ。』
カズマが出た。
『もしもし?』
相手は翔だった…