「佐山さん、遠くに行きすぎですよ」
「そ？先生が魔法でもかけてるんじゃない？」
「先生？…魔法って…」
先生と呼ばれたことにも、突拍子もなく子供じみたフレーズを使うことにも驚いた様子でフリーズしちゃった
そんな彼を放っておいて私は美容院を出た
「佐山さぁん」
振り替えると、驚きっぱなしの顔の彼が走ってきた
「先に会計で見送りなしで帰る人いませんから！」
「え？そうなの？」
「はい。これからどこか行くんですか？」
「うーん、特にないけど暇だから合コン！」
「へ？？まじっすか？」
「うーん、じゃあ嘘」
「嘘？って？えっ？」
「行っていい？」
「へ？合コンに…ですか？」
《え？》っが完全に《へ？》になってしまった彼
―おかしい 笑
「うん。先生がダメって言ったら行かないよ」
「へ？俺が？…」
「行かないでください」
「うん！どこにも行かない」
「へ？？」
「じゃあね。ありがとう」 何がなんたで混乱中の彼を置いて、もちろん私は合コン向かう
簡単なことばで簡単に嘘をついて簡単に男を混乱させる
これも、あの横浜駅西口での色んな種類の人との出会いから身につけたのかも
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