君の手に引かれて?

高崎明日美  2007-03-30投稿
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我慢するのは,結構つらかったりする。
かなり限界に近いかもしれない。


日曜日の昼下がり。私は,近くの河原の橋の下で合唱の練習をしていた。今年は,『春』という曲を歌う。

「♪この気持ちはなんだろう〜♪」

……………

本当に,この気持ちは何なんだろ…。

急に悲しくなってきた。心が痛い。
痛い。痛い。



「おっ,倉田ぁ〜っ!」

聞き覚えのある元気な声が私を呼んだ。

雅史だ。
雅史は橋の下に降りてきた。

「よっス〜。合唱の練習かっ。頑張ってんね」

私は声をかけられたが,そっぽを向いていた。

「ん?どした。倉田…」


………っ…っ……



「…泣いてんのか」

…っ…………っ…っ…っ……

すると,雅史は,こんなことを言い出した。

「泣け」

私は涙をゴシゴシふき,振り向いた。

「何それっ…」

私は雅史にずんずん寄った。

雅史は,真面目な顔をした。びっくりして,私は一歩下がった。

「つらかった?……ためてたんでしょ……我慢してんなよ」

「え」


「俺,倉田のこと,すごい心配してたんだから」

その瞬間,私の目から熱い涙がこぼれた。
…たくさんあふれてきた。

「…あ…」


どんどん涙が出てくる…。

だめだ!
雅史の前で,こんな姿を見せられない…。どうしよう。


「あんまり抱えこむな」

雅史の胸板が,私の顔のあたりについた。
雅史の両腕が,肩を 優しく包んだ。

雅史の心臓がドキドキしているのが伝わってきた。

雅史の服に涙がつかないように,顔を横向きにしながら泣いた。

雅史…雅史…。


つづく



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