ここは山道から外れた茂みの奥地。
「……よーし、あの明かりが奴らのアジトで間違いなさそうだ」
俺とフロンはスケルッチから(フロンが)強引に聞き出したヴァミオラ盗賊団のアジトに向かっていた。
「まだ相手の人数とか分からないからな……。ここは慎重に……っておい!フロン!」
フロンはずんずんと山小屋に向かって歩いていた。
「フロン!!まずは相手の様子を伺ってだな……!?」
俺は怒鳴ってフロンを止めようとする。しかし……。
「フルチャージ……『地牙閃弾』」
轟音と共に山小屋が弾け飛ぶ。なんか人影も見えたけど見えなかったことにしておこう。
「お、おい……。もし人質が巻き込まれてたらどうすんだよ?」
やれやれと頭を掻きながらフロンの隣に並ぶ俺。
「…………やっちゃった」
ガクッ。
膝の力が抜ける。
「何も考えてなかったんかい!!」
俺の強烈な突っ込みが炸裂したところで、山小屋のあった場所辺りから人のとおぼしき声が聞こえてくる。
「さぁて……盗賊さん達のお出ましみたいだ……」
俺は構える。なんかこの山に入ってから構えてばっかだな俺。
「私はできればヒナちゃんを探したい……」
フロンの、哀願するような声が耳に入る。
「了解。じゃあ雑魚その他は……」
全身に緊張が走る。
「俺に任しとけ……」