私の周りではクラスメイトが号泣している。
皆一様に同じ感情で同じ表情を浮かべ、水分の溢れた目は真っ赤だ。
「三船さんは強いね」
私に敬語を使うのは同じクラスの斎藤しかいない。
その声には所々鼻をすする音が交じり、顔を見なくてもグショグショなのがわかる。
「そんなことないよ」
正直な気持ちだ。
「でも泣いてる所見たことないよ」
「泣けないだけなの」
彼は一瞬の沈黙の後、私の目を見ながら悲しい表情をしていた。
「僕にはわかんないけど……凄く辛そう」
「辛いよ。なんか溜め込みつづけてる感じ」
恥ずかしそうにうつむいたので軽く顔をのぞきこむ
「もし、もしもさぁ。僕が死んだら三船さん泣いてくれるかな」
もし私が初めて泣くとしたらその時かな、と思い斎藤にそのまま伝えてみた。
耳まで真っ赤にし、黙りこんでしまった。
喪服を来た方に一度お辞儀し、焼香の前につく。
ひとさじ摘み、戻した時自然と声が出ていた。
「全然泣けないよ斎藤」
「ごめんね。こんなに悲しいのにね」
「泣きたい……泣きたいよ斎藤…」
私は悲しんだ。
彼に気持ちを伝えられなかった事を
そしてこれから一生泣く事はないであろうという確信を