天使がくれたもの

かず  2007-03-31投稿
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「ごめん・・・。」
長い沈黙のあと、高貴がつぶやいた。
「え・・・?意味わからんよ・・・。」
涙があとからあとから溢れて大声で泣いた。
18才の夏。高貴は19才、まだまだ2人は若くて一つの小さな命を絶ってしまった。
「ごめんなさい・・・。」胸が苦しくて悲しくて後悔でいっぱいだった。

それからの2年間、もともとすぐに手をあげる高貴の暴力はエスカレートしていった。
「別れたい。」
何十回目かの別れ話し。高貴は、アザたらけのえりかの顔をなでながら、いつものセリフを言う。
「えりか。ごめん…。痛かった?もうせん(しない)。」「もう無理。別れる!」さらに逆上した彼はさらに殴る。そのまま無理矢理のセックス。
「イタいっ!!もぉやめてっ!」声がかれるまで言い続ける。毎回繰り返される行為。
(ガマンしてれば終わるんだから。)そう自分に言い聞かせる。
「イくっ…っ!!」
(えっ!?)
「高貴!?ダメよ。イヤだっ!!やめてっっ!!」
えりかは高貴を突き飛ばす。
「痛っ!・・・あっ。ごめん。つい・・。」
高貴は悪びれずえりかに言った。
えりかは真っ青な顔で座り込んだまま。「ええやん。できたら産もう?」
高貴は笑顔で言った。
(もう、本当に無理・・・。耐えられん。)そう思った。高貴はえりかと別れたくないという理由で避妊もせず、中で出してしまった。
えりかの頭の中には二年前の事が駆け巡った。
えりかが高貴をもう愛せないと心から思った夜だった。

それから10ヶ月後えりかは男の子を出産。
今までの高貴からのされてきた事。そんな事はもう、えりかにはどうでも良かった。えりかは和希を産んだ喜びでいっぱいだった。
(和希を幸せにしてあげよう。そして高貴を愛せるように頑張らないと・・・。)えりかは心に誓う。
現実、結婚生活は上手くいかないものだった。
アルバイトしながらの子育て。家に帰ると和希の事で手がいっぱい。
えりかの愛情は、和希ばかりに向けられている事に腹を立てる高貴。
「お前は、俺より和希が大事なんかぁ?」
暴力はエスカレートして、家の中をめちゃくちゃにして、そのまま出て行く。一晩中帰って来ない事もしょっちゅうあった。そんなボロボロのえりかを励ますように、ぴったりとよりそう和希。
天使のような笑顔でえりかを覗き込む。えりかも微笑み返して和希を、ぎゅっと抱きしめる・・・。

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