綾香はただ立ち去る龍雅の後ろ姿を目で追うばかりだった。
自分の恋人が叩きのめされた事にショックを受けたがそれ以上に暴走し、人を危めようとした隆也に対してショックを受けた。
綾香「まさか…、隆也がこんなことするなんて…」
綾香の目の前では隆也が仰向けに横たわっていた。
綾香「隆也…、なんであんなことしたんだよ?」
綾香の目には大粒の涙が零れていた。
隆也「…ぐ…ぐぐ……」
隆也は苦しみながらも目を覚ました。
綾香は隆也を抱き寄せた。
綾香「隆也!!」
隆也「…あ、綾香…。はっ!!」
隆也は綾香を突き放すと立ち上がった。
隆也「あいつはどこ行った!!くそ!!仲間集めて叩き潰してやる!!」
綾香も立ち上がり凄い剣幕で隆也の前に立った。
そして隆也の頬をグーで殴った。鈍い音が響き渡る。
綾香「おめぇ馬鹿じゃねぇの?大体あたしはあいつとの間にはなにもないんだよ。なに人殺そうとしてんだよ?」
綾香の怒りは最高潮に達していた。
隆也も殴られた事に対し、綾香に対しての新たな怒りが生まれつつあった。
そして隆也は綾香に平手打ちをした。
その場に崩れる綾香。
隆也「なんで俺が女に殴られないといけないんだ!!大体、女のくせに生意気なんだよ!!」
更に綾香に向かって手を上げようとする隆也に飛び掛かる一人の陰。
隆也「!?は…放せ!!」
その陰は直ぐさま隆也を大腰でコンクリートの地面に叩き付けた。綾香はその陰が結奈であること がすぐに分かった。
隆也「がぁ!?…はっ!!」
隆也は衝撃による激痛で声が出ない。
結奈「…私の親友にそれ以上手をあげたら、本気で殺すから…」
結奈は隆也を見下ろしながら吐き捨てた。
結奈が後ろを振り返ると 泣きじゃくる綾香がいた。
結奈は優しく声をかける。
結奈「もう大丈夫だよ。ねっ、一緒に帰ろう…」
結奈は綾香を連れ添ってその場を後にした。
隆也「…ま、待て……」
隆也はもう立つ事も出来なかった。
隆也「な…なんで俺が…」
隆也はこの時、世の中の全てを恨んだ。
そこへ突然、青髪の男ハーツがやってきて隆也に話しかけた。
ハーツ「そんなに悔しいか?」