「御前・・・誰だ・・・?」
啓吾がそぉ言うと、正面の牢屋から少女が姿をのぞかせた。
「君、名前なんていうの?」
少女が啓吾に問う。
「俺は、啓吾。御前は?」
「私は、怜(れい)」
怜は啓吾に言う。
「啓吾は、何してココに来たの?」
「喧嘩。喧嘩して、相手殴って・・・そこを見られてそのまま連行」
「ふ〜ん」
怜が壁にもたれる。
「御前は?」
「私は・・・掏摸(すり)。5年間やってた」
「ごっ・・・5年!?!」
怜、啓吾の方を見る。
「何?おかしい??」
「いや・・・・・」
2人とも黙り込む。
「けど、このくらいの事で牢屋行きって、変じゃねぇか?」
啓吾が言う。
「金が欲しいんだよ・・・大人は」
「ん?」
「自分達で集めるより、私たちにやらせた方が手っ取り早いって思ったん でしょ・・・」
啓吾、さっきの番人の言葉を思いだす。
「だったら、『リイバー』って、何なんだ?」
「私たちが売られるところ」
「売られるのか・・・俺達」
「もう1つは『ディーカ』。法律にそむいたり、スパイを行った奴らを
消す仕事をしてる・・・」
悲しげに話す怜。
「・・・!誰か・・・来るぞ」
啓吾が小声で怜に言う。
「分かってるよ・・・」
コツッ・・・コツッ・・・と、靴の音が聞こえる。
「な〜んだ・・・残り物かよ〜っ・・・」
啓吾達の牢屋の前でその声は聞こえる。女の人の声だ。
「ま、いっか・・・いないよりましだな」