勇は目を覚ました。
不思議な事に息苦しさは感じなかった。
そして目の前にいたはずの摩羅の姿は無い。
目の前にいたのは勇の知らない銀髪の長い髪の女だった。
「神谷さん。この子の意識が戻りました!!」
「判った。ヘレナと宮川はその子を連れて逃げろ!!俺達はこいつらを足止めする!!」
ぼんやりとした意識の中、男の声と銃声、何かと何かがぶつかり合う金属音の様な音が聞こえた。
そして勇は体が浮いたのを感じた。
視界ははっきりしない。
勇は何が起こっているのか全く理解出来なかった。
「早く逃げろ!!もたもたするな!!」
再び男の声が聞こえた所で勇の意識は途絶えた。
*
「一体・・・何が・・・起きて・・・るんだ!?」
敬は壁によりかかりながらその黒い影の様なものがぶつかり合う様子を見ていた。そして側には快が敬を心配そうに見つめている。
「ちょっと半鬼共と一戦交えててな。そんな事よりお前を今から本部に連れて行く。それにもう喋るな傷口がまた開くぞ。」
快は敬をお姫様抱っこした。
「ま・・・摩羅様は?」
「心配するな。摩羅様は無事だ。」
快は敬の質問に答えると走り始めた。